今日は結局疲れ果てて型紙の清書、切り出しまででした。
作業中も音楽ですが、ショスタコーヴィチばかりではやっぱりもたれるものがあるので

ワグナー・ワルキューレ第一幕
ブルーノ・ワルター指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
歌手:ロッテ・レーマン、ラウリツ・メルヒオール、エマニュエル・リスト 1935年録音
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隣の国ではチョビ髭の伍長が再軍備と公式にユダヤ人追放を始め、地獄への扉を開けた年でもあります。
そんな古き良きヨーロッパの最後の輝きが消える直前の録音です。
歌手たちは今と違い実にエレガントで暖かく、丸みの中にも鋭さのある歌唱です。
なんと言ってもウィーンフィルの音色がとてつもなく艶っぽい。今の脱色脱臭された音色とは似ても似つかない。

ワルターというと戦後アメリカで録音した演奏で、枯れたマイルドな指揮者という印象が強いのですが、
この全盛期の録音は、カルロス・クライバーを上回る熱気と躍動感に包まれています、凄いです。

SP録音といっても馬鹿に出来ません、原盤の状態とリマスタリングが上手いのか、
フォルテシモでもさほどゴチャ付かず、チェロの指板を滑る音まで聴こえます、昭和10年の録音ですよ。

「指輪」の入門に打って付けとして、この第一幕が薦められますが、この幕だけで起承転結していて
一幕物の芝居になっています。登場人物も少なく結末まで一気に進むのでダレる事も無いです。
ワグナーのエッセンスを味わうものとしても最適です。

お話は、敵に追われたジークムントがその敵の家と知らずに逃げ込み、
その妻となっていた生き別れの双子の妹と再会し、敵の夫の目を欺き何処かへと駆け落ちするというものです。
双子の妹?他人の女房と駆け落ち?近親相姦に不倫か!!と思うでしょうが、
ワグナーの楽劇とはそういうものです。そういったところにニーチェすら心酔させたインモラルな毒があります。

その昔ビートルズが若者に良くないとか言っていた馬鹿大人が大勢居ましたが、
馬鹿だけあって芸術の危険な毒は全く理解できないので蚊帳の外、
それどころか王侯貴族の嗜みなので高尚だと思ってたんでしょう、有難い事です。本当に馬鹿です。
まぁ自分が善くて正しい健全だと思うなら、
タマゴボーロ齧って牛乳飲んで、よいこの絵本でも読んでいればよろしい。
そんなツマラン奴と付き合うのは願い下げですがね。

因みに「ジークフリート」のクライマックスではブリュンヒルデを裸に剥くストリップシーンがありますよ。
ワグナーはエロい、だからそれがいい。